オンラインゲーム空間で想定外の「疫病」が猛威

米ブリザード・エンターテインメント社のゲーム『ワールド・オブ・ウォークラフト』(以下『WoW』)のキャラクターたちが、自分たちの世界を襲った謎の疫病でばたばたと死んでいくという、仮想世界では珍しい事件が発生した。

感染した冒険者たちがクエストを終えて町に戻ると、知らず知らずのうちに邪悪な血を周囲の仲間に感染させた。疫病はすぐさま一族の間に広まっていき、まもなくいくつもの都市がこの人工的な病気の餌食となった。レベル58のナイト・エルフ族の戦士であれば280ポイントのダメージにも動じないかもしれないが、レベルの低いキャラクターはひとたまりもない。

 『WoW』の管理者たちは途方に暮れた。慌てて各エリアを隔離しても、疫病は瞬く間に手に負えないほど広まってしまったのだ。原因の1つはこのゲームの「ハースストーン」というアイテムにある。プレイヤーはこのアイテムを使うと他のエリアにテレポートできるため、地図上のもっとも遠い地域でさえほんの数分で疫病が到達してしまうのだ。