独シンボル「魔の山」舞台サナトリウムを売却

ドイツのノーベル賞作家、トーマス・マン(1875−1955年)の代表作「魔の山」の舞台となったサナトリウム結核療養所)を独政府が売却していたことが、このほど明らかになった。財政赤字穴埋めの足しにしたもので、ドイツの財政難は自国作家の名著のシンボルまでも手放さざるを得ないほど深刻なようだ。

 「魔の山」の舞台となったのは、スイス・ダボスの標高1、560メートルにあるサナトリウムトーマス・マンは胸の病気を患った妻のカチャさんに付き添って滞在した際、サナトリウムという隔絶された世界に展開する独特の人間模様を目の当たりにし、この体験を基に1924年、「魔の山」を発表した。