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柱時計が海中を落ちていく。
投棄されたのか、何かの罰なのか、あるいは自らそうしたのか。
あたりに光は差し込まず、音も無い。
そのうち、柱時計のなかで小さなきしみが聞こえはじめる。
柱時計は、体のなかに空気のあるうちに、最後の鐘を鳴らそうと思う。
ぜんまいの最後の力をしぼって、鐘を鳴らす。
自分のために、かつて鐘の音を聞いてくれた者たちのために、
それから、今この暗闇のなかで聞いているかもしれない誰かのために。
鐘をいくつか鳴らしたあと、柱時計のもとに沈黙が訪れる。
さっき浮かんだイメージ なんだこのくらい詩みたいのは